2.冠詞・定冠詞の付け方

要点解説

冠詞・定冠詞は日本人にとって最も理解・習得が難しい文法事項だと言われる。

例えばaをつけるかどうかの前提となる可算名詞・不可算名詞の区別にしたところで、いかにも数えられそうなequipment(装置・設備)が不可算名詞だったり、どう考えても数えられないstorm(嵐)は可算名詞だったりする。またtheについても「文脈に既に登場したものにtheをつけるだけ」というほど単純ではなく、初登場でもtheがついているものが多々あることは、周知のとおりである。

この分野に関してはネイティブスピーカーでなければ100%の理解・運用は難しいのが現実だが、ここではせめてエラーを最小化できるよう、従来の受験文法より厳密な定義を試みる。

(1)可算名詞と不可算名詞

まず、定冠詞theや冠詞aをつけるべき名詞かどうかの識別(同様に複数形があるかどうかの識別)の前提としての、可算名詞と不可算名詞の定義について説明する。

一般的な受験文法では、「名詞は数えられるものと数えられないものに分けられる」と整理している。そして数えられるような具体物に冠詞がつき(複数形があり)、抽象物にはつかない(複数形が無い)。定冠詞は不可算名詞にもつける場合がある、というのが原則である。

しかし実際には、2の冒頭のequipmentやstormのケースや、他にも同じ名詞をときによって可算として扱ったり不可算として扱ったりなど、この認識だけでは対処できないのが現実である。

新しいアプローチ

一つのアプローチとして、名詞は「個別具体的にイメージできるものと、定義がぼんやりしていてイメージできないものに分けられる」という考え方がある。

「装置・設備」はイメージできないのか? 装置と聞いてコンピューターをイメージするかもしれないが、それはあくまで「コンピューター」というかなり狭い範囲に勝手に個別化した結果である。工場の大型機械も装置だし、オフィスの小さな電子機器も装置である。

すなわち、「全体集合」的概念はイメージしにくい、その中の一つ一つの要素はイメージしやすい、と言える。

具体例

「わざわざ私のために夕食などお作りにならないでください」
→ Don't bother to make dinner for me.

ここでのdinnerは、どんな夕食なのか無限の可能性があり、具体的なイメージを結びにくい。ディナーに限らず食事の名称はすべてそうだ。

「今日は素晴らしい夕食を食べました」
→ I had a wonderful dinner today.

こちらは、「素晴らしい夕食」ということから特別な料理やコースなどの具体的なイメージが想起される、という考えである。

医療の例

「良質な医療とは、患者の症状に対して薬や治療法を次々と適用することではない」
→ Applying medicines and treatments to patients' symptoms doesn't mean a good medical care.

ただ単に「医療」と言われると病院での治療か、在宅医療か、予防医学か、全くわからないが、この文脈では病院での治療、しかも良質なそれにターゲットが絞られていてイメージしやすい、という具合である。

注意点

(なお、A good medical careの方を主語にしない理由は、それが新情報だからである《Ⅱ動詞チャンクの3.4.5参照》。また蛇足であるが、2(1)④bで述べているように、不定詞の名詞的用法は特殊な決まったケースしか補語に使えないので、medical care is not to doという形も使えない《The purpose of medical care is to doという、これから起こる単発のことに焦点を当てた形はあり得る。3(1)④b参照》。medicines and treatmentsは一般的な組み合わせ。medicines and theoriesとは言わない。)

その他の重要な例

  • machinery(「機械類」というと様々なものが当てはまるので不可算。computerは可算)
  • literature(これが指す対象は実は小説だけでなく詩も評論も含まれ、不可算。一冊の個別具体的な本はbookで、こちらは可算)
  • water(水という液体は形が無く、世界中のあちこちに大量にある。水という物を集合的に指す名詞がwaterであり不可算。a glass ofと個別具体的な一つのグラスの中に限定されたときに具体的なイメージとして数えられるようになる。)

重要な心構え

日本人は名詞を用いるとき、数のイメージを想起せずに流しがちである。複数であれば、それが複数であることをしっかりイメージしなければならない。「複数形」という文法上の言葉を思い浮かべているのではダメだ。複数のそれらが寄り集まっているようなイメージをしっかり想起するのである。そうでなければ、たとえ「名詞を複数形にすること」というルール自体は忘れなかったとしても、その後の三単現のsをつけてしまったりbe動詞の選択を誤ったりなどのミスを誘発する。

学習を続けましょう

文法の基本概念を理解したら、実際のトレーニングで練習してみましょう。

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